(以下は理化学研究所と高知大学との共同プレスリリースです

 

-生命起源の理解に貢献-

 

深海熱水噴出孔が作り出すイオン電池

 

理化学研究所(理研)環境資源科学研究センター生体機能触媒研究チームの中村龍平チームリーダー(東京科学大学未来社会創成研究院(研究当時:東京工業大学国際先駆研究機構)地球生命研究所教授)、イ・ヘウン基礎科学特別研究員(研究当時)、高知大学海洋コア国際研究所の奥村知世准教授らの国際共同研究グループは、マリアナ海溝北東斜面の水深約5,700m に位置する深海熱水噴出孔の構造を詳細に解析しました。その結果、熱水噴出孔の中には、イオンを選択的に運ぶための小さな通路が存在し、熱水噴出孔が発電していることを突き止めました。イオンの濃度差を利用した発電は、生命がエネルギーを生成する際に利用している仕組みです。この生命の基本的な仕組みが自然に発生していることを発見した本研究は、生命の起源に関する手掛かりを提供するものです。

 

私たちヒトも含め全ての生命は、細胞内でイオンの濃度差を利用してエネルギーを生み出しています。そのため、生命がどのようにしてこの仕組みを利用し始めたのかという疑問は、生命の起源に迫る重要な問いです。

 

国際共同研究グループは、生命が誕生した場所として有力視されている深海熱水噴出孔をナノレベルで詳細に調べました。その結果、熱水噴出孔が板状の形を持つ鉱物で構成され、その鉱物が規則正しく並ぶことで、イオンを運ぶために最適な通路を形成していることが判明しました。さらに、この熱水噴出孔のサンプルは、海水中のイオンを選択的に運ぶことで電気を生み出していることが確認されました。

 

この発見は、生命のエネルギー変換システムの一部が、地球の自然の化学反応によって生成されることを示す成果です。

 

本研究は、科学雑誌『Nature Communications』オンライン版(9 月25 日付)に掲載されました。

 

 

プレスリリースの全文は、理化学研究所公式サイトのこちらのページをご覧ください。