(以下は理化学研究所と科学技術振興機構との共同プレスリリースです)
-過冷却水で見つかった低温電気化学の新しい挙動-

理化学研究所(理研)環境資源科学研究センター生体機能触媒研究チームの中村龍平チームディレクター(東京科学大学地球生命研究所(ELSI)教授)、アウファンドラ・チャクラ・ワルダナ特別研究員、大岡英史客員主管研究員らの研究チームは、水を冷やすことで、水の電気分解反応に用いる酸化マンガン触媒が、氷ができる直前の0℃付近で最も長持ちすることを発見しました。
本成果は、これまで十分に調べられてこなかった低温そして過冷却水における電気化学反応の理解につながると期待されます。同時に、寒冷地や極地、さらには今後研究が発展すると期待される地球外天体における電気化学現象の理解につながるものです。
水の電気分解は、水から水素と酸素を製造する技術として注目されています。しかし、水を電気分解するときに伴う酸素発生反応は、過酷な化学環境にさらされることから、触媒が時間とともに劣化するという、安定性に問題があります。
今回、研究チームは、酸化マンガンをモデル触媒として用い、酸素発生反応と触媒の劣化反応について、温度依存性を調べました。その結果、温度を下げると酸素発生反応は遅くなる一方、触媒の劣化反応はそれ以上に遅くなることを発見しました。さらに、0℃以下の、凍るはずの水が液体のまま存在する「過冷却水」では、触媒の劣化反応が再び速くなることを発見しました。つまり、触媒は冷やせば冷やすほど長持ちするのではなく、氷が生成する直前の0℃付近で最も長寿命になることが分かりました。これは、温度低下とともに反応速度が低下するという一般的なアレニウス則とは異なる、低温電気化学における特異な温度依存性を示すものです。
本研究は、科学雑誌『Nature Chemistry』オンライン版(10月21日:日本時間10月21日付)に掲載されました。
プレスリリースの全文は、理化学研究所公式サイトのこちらのページをご覧ください。