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138 和歌山での苦行:初めてのフィールド

私は分子生物学の実験科学者であり、微生物学のトレーニングも受けた。科学者としてのキャリアをすべて冷暖房完備の建物の中で安全に身を隠して過ごしてきた:研究室の仕事台で作業し、コンピューター画面の前でタイピングし、たぶん図書館で記事をコピーすることもあった(私は年を取っているので、コピーが必要だった時代を覚えている)。変わった環境条件で働く経験として最も近かったのは、低温室(4℃)でタンパク質を精製しなければならないか、暖かい部屋(37℃)で動態分析をしなければならない場合で、温まるため(涼むため)に短い休み時間に反対側の部屋に移動することがあった。そんなわけで、ELSIでの最初の1ヶ月、Tomohiro Mochizuki研究員が私を助手として和歌山県のフィールドコレクションに連れて行ってくれることにワクワクしていた。

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和歌山県は、関西の紀伊半島の先端に位置している。紀伊半島は温暖な熱帯雨林で覆われている。岩場の海岸は、近海の暖流のおかげで、世界のサンゴ礁の北限地となっている。 2月の東京の寒さから逃れることができて満足していただけでなく、日本のこの地を初めて見ることに本当に興味があった。フィールドワークを初めて実践することも超楽しみだった。天候のため飛行機がほぼキャンセルされそうになったが、羽田空港からの1時間という短い旅の後、私たちは激しく雨が降る白浜(夏に人気のビーチタウン)に着陸し、サンプルを採取し始めた。

私たちは新しいタイプのファージを発見するために水サンプルを収集することに興味を持っていた。ファージは無害なウイルスの一種だ。彼らはヒトまたは動物の細胞に感染することはできず、単純な単細胞微生物のみを感染させる。我々は非常に高温または高塩分といった極限条件で生存する「極限環境ファージ」を見つけたかった。初期の地球で共通していたかもしれないこのような環境で生命がどのように対応していたのかをよりよく理解するためだ。豊富な地熱活動のおかげで、日本は極限環境ファージを研究するのに最適な場所だ(ちょうどいい温泉を探すだけで良い!)。幸いなことに、(UCSDの同僚の生態学者たちはうらやましく思うだろう。彼らは、泥だらけの沼地を蜂よけのメッシュボディスーツを身につけてフィールドワークをしている)、日本のほぼすべての温泉は完全に開発された温泉になっている。したがって、私たちのフィールドワークはあまり危険なトレッキングや汚れを伴わず、素敵な海辺や山の町で、源水にアクセスするために丁寧にお願いすることが仕事であり、その日の仕事が終わった後は地元の温泉に浸かる。

Yunomine_r-thumb-240xauto-3675.jpg記録紙、サンプル容器、器材、傘、レインコート、(多少の)防水靴、長い取手がついたサンプリング柄杓などで武装し、半島の西岸に位置する白浜でサンプルを集めた。 1つのサンプルは温泉卵店からのもので、そこの湧き水は卵を半熟に茹でるのに十分なほどの高温だ(何十年もその目的のために使用されている)。白浜の後、私たちは内陸に向かい、慎重に山を車で上がり、湯の峰温泉に着いた。雨が激しく降り、小さな村の中心を流れる川が浸水していたため、卵を茹でることができる川沿いの有名な湯筒をサンプリングすることはできなかったが、公衆浴場からサンプルを得ることができた。夕暮れになって町の灯篭が現れたとき、やっと小降りになった雨の中で蒸気と夕日に照らされ、雨に洗われた湯の峰が輝いていた。

Tousen_Jinja_r.jpg私たちは山を横断し、翌日、半島の東側で岩場の潮流プールを渡り、複数の湧き水が海に集まる場所から海水を集めた。半島の南側の海岸沿いの道をたどって白浜に戻り、最後に列車で北に向かい、神戸の外にある有馬温泉で最終日を迎えた。私たちは温泉に捧げられた神社である湯泉神社を訪問し、良い研究結果を祈願して木製の絵馬を描いて旅を終えた。有馬を出る前に、関西風のたこ焼きを試食した。たこ焼きには、東京風の甘い茶色のソース、マヨネーズ、カツオの代わりに、繊細なスープが添えられている。関西スタイルのたこ焼きは、日本でも、外国でも、私が食べた最高の食べ物の一つだ!

私の最初のフィールドワークは、これ以上は望めないほど素晴らしい、最高に日本らしい経験となった。今年の後半にELSIに戻れることが待ち遠い。また「遠征」に行けることを期待している。